◢◤やる気スイッチ①◢◤
ここは、静かな学習塾の一室。
講師である私は、生徒たちのやる気スイッチを探す探偵として日々奮闘している。
①宿題忘れの常習犯・高橋くん
高橋くんはペットに小型犬を飼いたいと言ったのに
キャンキャン泣いてうるさいと父に反対され、亀ならOkと許可をもらい亀を飼うことになった。
その日、
「先生、宿題やってません。」
お決まりのセリフを口にしたのは、高橋くん。
彼はこの塾の“宿題忘れ常習犯”として名を馳せている。
「理由は?」と私が尋ねると、彼は少しだけ申し訳なさそうに目を伏せて言った。
「時間がなかったんです。ペットの世話で」
出た!定番中の定番セリフだ。
だが、この言葉の奥に隠された真実が見えているのは承知の事実
「なるほど、時間がなかった、か。それで、ペットは何飼っているの?」
「亀です」下を向いて ボソッと呟いた。
「亀の世話なんて時間かからんじゃろ 正直に言え、昨日は何をしていたんだい?」
「えっと、夕方からYouTube見て、そのあとゲームして、気づいたら夜でした。」
「フムフム、それで宿題は?」
「やる時間がなかったんです。」
私は心の中でツッコミを入れながら、あえて冷静にこう言った。
「高橋くん、それは時間がなかったんじゃなくて、時間の使い方を間違えたんだよ。」
高橋くんにとっては宿題の優先順位は常に下位、
楽しいことから始め 常に宿題は後回しなのだ。