★☆恐ろしや関西弁☆★
初めて関西に旅行したのは、高校生の時でした。
東京で生まれ育った私にとって、関西は未知の地。
たこ焼きとかお好み焼きとか、食べ物のイメージしかなかったが実際に行って驚いたことが、
「ここ、ホントに日本なの?」って。
その日、私は大阪の宝塚行阪急電車に乗っていた。
スケジュールが密でちょっと疲れ、ぼ~っと席に座っていた。
ふと目の前を見たら、オバちゃん三人組が腰かけていた。
座ってるだけでなく、問題は、そのオバちゃん達の話している内容。
「いや、そらあかんわー!」「ホンマそれやで、なんでそないなるん?」
「アホちゃうかー!」 もう、これがピーチクパーチクしゃべるしゃべる!
しかも声がばかデカい!何言っているのか、全然わからないし聞き取れない。
しかし話すテンポは速いこと速いこと。
そして握りこぶしが入るのではないかと思うくらいの大口を開け、突然の大爆笑。
オバちゃんら、腹抱えて笑いころげ涙まで流してる。
私はその光景に圧倒されて、完全に固まった。
「え、何これ?海外の電車に乗ったの?」
そう思うくらい、関西弁の勢いが強烈だった。
私の耳には、ただの音の洪水にしか聞こえない。
でも、周りの乗客は誰も気にしてないのだ。
むしろ、ちょっと微笑んでるくらい。
これが関西の日常なのかと、カルチャーショックを受けたのを今でも鮮明に覚えている。
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それから数年後、私は大学生になり、
ゼミで知り合った関西出身の男友達と遊ぶようになった。
その男、まぁ口が悪いのだけど、背は高く体躯の良いスポーツマン。
ノリが面白いけど、ひどく軽めの男だった。
ある日、その男と食事に行った時のこと、私がちょっとしたミスをしたのか?
奴がこう言ってきたのだ。
「オイ、どアホぅ~、そんなこと分からんのか?どついたろか!」
え?今、何て?「どアホぅ?」いやいや、ちょっと待ったぁ~。
東京育ちの私には「アホ」って言葉ですら、グサっと来るのにその上、
「ど!」がついてるって何でやねん?
「どついたろか」って…殴るってことなの?
だとしたらそれ、普通に脅迫では?
私はその場で固まってしまい、何も言い返すことができなかった。
奴はケラケラ笑ってたけど、私の心にはズドンと重いものが残った。
帰り道、頭の中で何度もその言葉がリピートされる。
「どアホぅ~、どついたろか、どアホぅ~」
その夜、布団に入っても寝付くことができず、
まるで「お前の脳みそ、底抜けのアンポンタンやで!」って
言われたみたいで、自己嫌悪に陥った。
関西弁って破壊力ありすぎだわ~。
次の日、奴に「昨日の言葉、めっちゃ傷ついた!」って言ったら、
奴はまた笑いながらこう返してきた。
「なんでやねん!冗談やん!関西ではそれくらい普通やで!」
普通って…それ何? 東京だったら完全にケンカ売ってるレベルでしょうが、
でも、奴は悪気ゼロの感じ、むしろ、
「そんなんで落ち込む?お前おもろいやっちゃな~」くらいの感じでケラケラ笑っていた。
軽い男なのか単に口が悪い奴なのか?
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それからなぜか私は、関西弁に対する免疫を少しずつつけていった。
人生って魔訶不思議。
例えば「なおす」⇒「片づける」だったり、「ホカす」⇒「捨てる」だったり、
「サラ」⇒「新しい」と言う意味と知った時、
新しいお皿「サラのサラって何やねん!」って一人でツッコんだ。
女友達が泊りに来てお風呂使用した時、「お湯が熱い」と
「なら、水を出しモッテはいって」と伝え
友達に「ナニ?水道ホースをもつ?つかむ?だしもってって何?」とツッこまれ
思わず凹んだことがまるで昨日のように思い出された。
でも、あの日の「どアホぅ!」の衝撃だけは、今でも忘れられない。
関西弁って、ホント凶器だと思った。
未だにやっぱり「どアホぅ!」と聞くとこの事件を思い出す。
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