★☆脚から始まる物語☆★
人はよく言う。「人間、脚から弱る」と。
それはまるで呪いのように、じわじわと忍び寄る現実。
私の母もそうだった。
最初は「右膝が痛い」とつぶやいていただけだった。
「あらあら、歳のせいかしらね」なんて軽く笑っていたのに、それが始まりだったのだ。
痛みを避けるように動かなくなり、動かないから筋力が落ち、さらに動けなくなる。
整形外科に膝に溜まった水を抜きに週2回定期的に通院、
気づけば車椅子、そして最終的にはベッドの上だけの生活に。
その母の姿を見てきた私には、決意が生まれた。
「私は絶対に車椅子になんて乗らない!」
「寝たきりになんてなるものか!」
その一心で、ジムに通い続けている。
筋トレマシーンで汗を流し、体を動かす喜びを感じていた。
「これで私は大丈夫だ」と、ひそかに自分を誇らしく思ったものだ。
しかし、人生とは何て忙しいのか、
最近は仕事やら何やらでジムに行く時間も減り、筋トレも疎かになりがち。
「このままでは、まずい!」と焦る気持ちはあるものの、
暑さにかまけてアクアビクスもサボりがち。
そんな私の目に飛び込んできたのが、テレビのCMだった。
登山家の〇〇、えーと、あの人、名前なんだっけ?
最近人の名前、すぐに出てこないのよね。
「三浦、三浦なんとかさ~ん。あ、そうだ!三浦雄一郎さん!」
彼が宣伝していた「SIXPAD」。
ただ足を乗せているだけで筋肉を鍛えられるという夢のようなマシン。
「これだ!」と思った私は、悩む間もなくポチッとしてしまった。
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届いたその日、さっそく試してみることに。
まずは恐る恐る目盛り1からスタート。
「おお、これは…!」
確かに筋肉がピリピリと動いている感じがする。
調子に乗って、いきなり目盛り3に設定。
「来た来た来たぁぁぁ~~~!」
ふくらはぎがビクビクと震え、筋肉が悲鳴を上げている。
「これ、確かに運動してるわ!」と感動しながらも、
ちょっとだけ涙目になる私。
歳を重ねると、鍛えるのはじわじわとしか進まないのに、
衰えるのはアッという間。
だからこそ、三日坊主にならず、継続することが何より大事なのだ。
さて、これから私の「SIXPAD生活」が始まる。
母のように脚から弱るわけにはいかない。
私は今日も、ビクビクと震えるふくらはぎを眺めながら、
小さな勝利を感じている。
「よし、これで私はまだまだいける!」
そう心の中で叫びながら、私は次の目盛りをいきなり5にセットした!
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